インボイスと整形について

インボイスと整形について

2024.02.29

【意外と納税意識の高いキャバ嬢】

夜職の場合、偏見も加わり「脱税してるんじゃない?」
「変な経費使ってるんじゃない?」などと
世間から懐疑的な目を向けられることもあります。

しかし、正しい納税の店があるのもまぎれもない事実。

今年はインボイス制度導入後、初めての確定申告です。
領収書や経費の扱い、節税など、夜職以外の方も
参考にしてもらえれば幸いです。

自身のライフスタイルをSNSで発信し、
インフルエンサーとして影響力持つキャバ嬢は大増殖。

そんなキャバ嬢の主な収入源は、店からの報酬です
業務委託契約で働く個人事業主扱いがほとんどで、
店が報酬として所得税法第204条に基づき源泉徴収。

ここで天引きされた金額は、店が代わりに納税します。
そのため、キャバクラ嬢が確定申告を行う場合、
すでに納めている源泉所得税の還付金を受け取り可能。

実際、数人のキャバクラ嬢に話を聞いてみたところ、
「還付金のことは知っているし税理士にお願いしてる」
というのがほとんどです。

店のママや経営者がキャバ嬢に税理士を紹介するケース
が多いというが、これ当然です。というのも、
納税意識がないキャストは店にとって悩みの種だから。

店がきちんと納税していても、キャバ嬢自身が
納税していないと税務調査を受けるリスクがあるから。

当然、店としても確定申告をするようにキャバ嬢を
うながす必要があります。
もちろん入れ替わりの激しい業界なので店舗によって
その方針が異なる可能性は大いにあるのも事実です。

 

【チップやプレゼントは課税対象?】

キャバ嬢には、店の報酬以外に非公式の収入がある。
気前のいい客からもらうチップやプレゼントです。
気になるのは、この臨時収入に税金がかかるのかどうか。
夜職の案件を取り扱う税理士法人に見解を聞きました。

「客から直接もらった金銭や物品は、
建前としては見返りを求めるものではないため、
原則として贈与税の対象になります」

贈与税は個人から財産をもらった際にかかる税金で、
受け取った人が申告を行なう必要があります。

例えば、650万円分のプレゼントを受け取った場合、
贈与税は97万円ほどになります。ちなみに、
年間で110万円以下の場合は贈与税がかからないが、
合計額で計算されるので複数人からプレゼントを
もらえばあっさり110万円を超えます。

ここで問題になるのが、プレゼントの売却である。
何人もの客を相手に、あらかじめ欲しいバッグや
アクセサリーを指定してプレゼントを受けとり、
ひとつだけ手元に残してほかはすべて売り払う。

そうすれば、どの客にも「プレゼントありがとう」
とアピールできるから。

キャバクラ嬢のこの常套手段はかなり問題がある、
と税理士法人は指摘します。

「客からもらった高額なバッグやアクセサリーを
売却した場合、所得税が課される可能性があります」

また、売り先は質屋やオークションサイトが
挙げられると思いますが、質屋の場合はその場で
現金を受け取れるので、その即金性の高さが人気。

即金性はなくとも、売値を少しでも上げたいのであれば
オークションサイトのほうが適しているかも。

ただし、オークションサイトの場合、
売却代金は『振込』となるので通帳に記録が残ります。
自身でしっかり申告するか専門家に相談すること推奨」

 

【美容整形は経費計上可能になる?】

キャバクラ嬢は個人事業者であるので、当然経費発生。
経費として認められる代表的なものを以下に。

○衣装代
キャバクラでの勤務に必要なドレスやアクセなど

○美容関連費
ヘアセット、ネイル、メイクなどの美容費用

○交通費
タクシーなど仕事への通勤にかかる交通費

○携帯電話代
顧客との連絡に使用する携帯電話の料金

○名刺代
顧客へ渡すためだけに使う営業用アイテム

○接待費
顧客を接待するための飲食代

○教育費・研究費
コミュニスキルや接客技術を学ぶためのセミナー
講習会の受講料

「キャバクラ嬢という職業は、売上を上げるためには
外見や仕草、接客コミュニケーションスキルへの
投資が必要である」と合理的に判断されています。

美容関連費が経費にできるのもキャバ嬢ならではだが、
中には美容整形によって美しさを手にする女性も多い。

はたして、美容整形は経費になるのか?

容姿至上主義が叫ばれる世の中ではあるが、
キャバクラでは美人であれば指名が増えて人気も出る。
彼女達が美容整形をするのは必要経費になるのか?

実際、キャバ嬢に話を聞くと、「整形したよ」と、
病院ではなく執刀医の名前を挙げた整形談義が常識。

そうなると経費として認められそうな気もするが、
現実は美容整形が経費とならない可能性は高いことも。

裁判で美容整形の経費性を争った事例もあるが、
キャバ嬢の主張は通らず、美容整形は経費として敗訴。
税理士法人の見解は以下の通り。

整形効果がキャバ嬢という職業に留まらないから。
 女性が美しくありたいのは当然のことで
 『事業を辞めても整形した顔を元に戻すはずない』
 と税務署が指摘し、美容整形費用に合理性はないと
 判断したケースがありますとのこと。

 

【インボイス制度で何が変わるのか?】

さて今年はインボイス制度導入後、初めての確定申告。
この制度で“売れっ子”キャバ嬢の概念が変わった。

これまで売れっ子と呼ばれるキャバクラ嬢と、
そうでないキャバ嬢とを税金面でわけていた境界線は
「売上1000万円」だった。
売上が1000万円を超えると「消費税課税事業者」となり、
消費税を納税しなければいけなかったからだ。

逆に売上が1000万円以下の場合、消費税の納税が
免除されていたが、インボイス導入されてからは違う。

インボイス発行事業者に登録すると、売上に関係なく
消費税を納めなくてはいけなくなった。これを機に
税金面で売れっ子の明確な線引きがなくなったと言える。

インボイス導入後、経費に関しても「変化」があり。
前述のとおり、キャバ嬢は美容院代やヘアメイク代を
経費として計上できるのだが、
このあたりは美しさを原資とするキャバクラ嬢にとって
必要不可欠である、と税務署も判断してくれる。

ただし、インボイス導入後は、ヘアサロンなども
インボイス発行事業者であることが要求されます。

一方、免税事業者からのサービスの場合、経費計上は
可能でも仕入税額控除ができない。
つまり所得税法上の経費にはなるが、消費税法上の
経費にはなりません。

税込1万円未満の課税仕入れに関しては、
少額特例によってインボイス未登録でも帳簿保存で
仕入税額控除が認められます。

つまり、税込1万円以上の支払いの場合は相手が
インボイス登録事業者であることが、
自分の消費税の負担を減らすための条件になります。

 

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